バナナの選択
                バナナは、生きるために、子孫繁栄の選択権さえも人類にゆだねたんだ。 一生懸命に生きるって?                 生きる、ということにおいて、僕たちの決意なんて、 バナナの勇気の百分の一にも及ばないよ。         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

No. 170627 断章

「彼らに」

 あなたは誰ですか。僕はあなたを知りません。僕は、はじめから、あなたのことなど知らないのです。それに、べつにあなたのことを知りたいとも思いません。僕にかかわらないでください。近よらないでください。話しかけないでください。こっちを見ないでください。僕の視界に入らないでください。そう。もう消えちゃってください。早く消えてください。ああもう。まだいるよ。早く消えてよ。もう。早く消えろ!

「インタビュー」

 ああ。はいはい。またその話ですか。愛ね。はいはい。愛ですか。その話ですか。もういいじゃないですか。なんべん言えばいいんですか。愛?ですから、そんなもの、どこにあるんですか。生まれてこの方、そんなもの、見たことも聞いたこともありませんよ。え?あなた、見たことがあるの?ええ?いま、愛を手にしているって?ちょ、ちょっと、見せてくださいよ。その、愛ってやつを見せてよ。その手に持ってるんでしょ?だって、あんた、いま、そう言ったじゃないか。見せろよ。見たいんだよ。そうだよ。どうしても見たいんだよ。ほら。もう。見せろったら。早く見せろよ。見せないと殺すぞ。

「やさしいひと」 

 僕はやさしいでしょう?そうとも。僕はやさしいんだ。君のことをなんでもゆるしてあげるんだ。君がなにをしようと、僕は君をゆるしてあげる。え?なぜそんなにやさしいのかって?なぜなら、僕は、君のことなんてどうでもいいから。

「人間の証」

 嫉妬は、人間をふくめて、この地上に生きる動物どもの共通の感情である。それはどうやら自分の遺伝子を残そうとする生体の本能的防御システムによる作用らしい。百獣の王ライオンであれ、地面を這う虫けらであれ、およそ動物はおのれの配偶者に近寄ってくる競争者を嫌悪し、命がけで全力で排除する。けれどもある動物学者は指摘している。配偶者の「過去」に嫉妬するのは人間だけである。と。「過去」への嫉妬は、本能ではない。「過去」への嫉妬こそは、煩悩三毒の最たるものである。そしてそれ故に、そこには救いがない。そしてそれ故に、それは人間の証である。

「Next One !」

 貧困と不遇と屈辱と。おかげさまで僕も、人並みの苦労はさせて頂きました。まったく無意味な苦労でした。けれども、そんなことはもはや、どうでもよくなった。人生で成功したとか失敗したとか、幸福だとか不幸だとか、べつに何でもかまわない。所詮、人生など一瞬刹那の夢に過ぎないのだから。ひとは夢から夢へと無数の人生を駆けめぐる。ある人生の夢を見ていたつもりでも、いつのまにか別の人生の夢を見ている。そしてそのことに気がつきもしない。たとえ今の人生が、苦労の絶えない最低な人生だとしても、それは、今生現世の人生がたまたま「はずれくじ」でしたってだけのことさ。輪廻転生。チャンスは無限にある。つまらない人生なら、はじめからやり直せばいい。後生来世はきっと、大金持ちの貴族の息子としてのハッピーな人生にちがいない。「大当たり」だ。カランカランと鐘が鳴る。人生なんて所詮、スーパーの福引きセール程度の意味しかない。Next One! さあ、次にいこう。