バナナの選択
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                バナナは、生きるために、子孫繁栄の選択権さえも人類にゆだねたんだ。 一生懸命に生きるって?                 生きる、ということにおいて、僕たちの決意なんて、 バナナの勇気の百分の一にも及ばないよ。         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

No. 170213 光るもの。

うすぼんやりと光るものが、僕の前に現れて、僕にたずねた。

あら。あなた。ずいぶん、くるしそうじゃないの。

なんで、いっそのこと、死なないのよ。

そんなにくるしいのなら、死ねばいいじゃない。と。

僕は答えた。

まだ、死ねないのです。

何かが、僕を待っているような気がするのです。

光るものは言った。

何も待ってやしないわ。

もう、何もないのよ。あなたには、何もない。わかってるでしょ。

僕は答えた。

いや。何かが、あるんです。僕を待っている何かが、どこかにあるんです。

それが何なのか、僕にはぜんぜん、わからないんだけれども。

光るものが言った。

バカね。それを、希望というのよ。

僕は驚いて言った。

希望? 希望だって? こんな世界に、希望だって?

光るものは言った。

そう。希望よ。あなたは、希望をもっているのよ。

希望をもっている者は、死ねない。

たましいが、死をゆるさないから。

死は、絶望した者だけがゆるされるの。

僕は、光るものにたずねた。

僕は絶望していないのかい?

光るものが言った。

そう。絶望していないから、死ねないのよ。

あなたがほんとうに絶望しているのなら、いますぐ死ねるはず。

あなたは、いますぐ死ねるの?

僕は正直に答えた。

死ねない。まだ、死ねないんだ。どうしてだろう。こんなにくるしいのに。

光るものは、微笑んで言った。

くるしいのは、あなたがまだ希望をもっているから。

あなたがくるしいことが、あなたが希望を捨てていない証拠なの。

絶望したら、くるしみもない。ただ消えたいと願うだけ。

そのときには、あたしがまた、むかえに来るわよ。

そうして、闇の中を漂うあなたのたましいをつかまえてあげる。

僕は不思議になって、光るものにたずねた。

君は、いったい誰?

光るものは、また微笑んで言った。

あなたは、あたしを知ってるはずよ。

振り返ってごらんなさい。そこにあたしはいる。と。