バナナの選択
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                バナナは、生きるために、子孫繁栄の選択権さえも人類にゆだねたんだ。 一生懸命に生きるって?                 生きる、ということにおいて、僕たちの決意なんて、 バナナの勇気の百分の一にも及ばないよ。         ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

No.160501 夢かうつつか

 人生は、夢かうつつか。よく聞くセリフ。でも、夢かうつつか、って区別じゃないと思うんだ。そもそも、うつつなんて、どこにもないんじゃないかって思う。

 たぶん、全部、夢なんだ。たくさんの夢が、いくつもいくつも無限に重なっていて、その夢と夢の間を、人は、気が付かないままに行ったり来たりしているんじゃないのか。そうして、たまたま一瞬の間に通り過ぎる夢の中で、これが現実、僕の世界、と思い込んでいるだけじゃないのか。でももう、次の瞬間、僕は別の夢の中へと落ち込み、その夢の中で、別の人間として生きて、死ぬ。死んで、そうして、また夢の中へ・・・邯鄲の夢、パラレルワールド、世界の同時存在、呼び名はなんでも構わない、とにかく世界は、無数にある。

 それぞれの夢がすべて、僕の世界だった。それぞれの夢の中で、家族があり、恋人があり、友がいた。僕は僕の世界を生きて、無数の人々と出会い、無数の人々を愛し、無数の人々から愛された。

 けれども、その夢の中でもらった愛は、次の夢には持っていけない。愛の記憶の蓄積を、神は禁じた。それがどういう愛だったのか、その愛をくれた人たちが僕にどういう笑顔を見せてくれていたのか、その時の僕の名前が何だったのかさえ、もう何も覚えてはいないんだ。そうして僕は再び、絶対の孤独へと回帰しなければならない。